小説

エドガー・アラン・ポー 『群衆の人』 

「あの老人は—」ようやく言葉が出た。 「罪悪の典型にして権化。どうあっても一人にならない。群衆そのもの。群衆の人だ。いくら追っても無駄なこと。あの人物、あの行動が、これ以上わかることはない」 ーポー著 小川高義訳『群衆の人』より とある秋の日の…

小説 ジキル博士とハイド氏

各時代ごとに造られる怪物観 「怪物は境界線に存在する」という言葉がある。 我々人間は完璧に境界を異にした存在に対しては、それがいかに恐ろしい存在であっても怪物という言葉は使わない。 異質な存在であるにも関わらず、そこに人間的な何か、あるいはか…

魯迅『狂人日記』と『阿Q正伝』

近代に生きる人間の悩める自我について