ゴヤ 『聖イシードロの巡礼』

何の喜悦も感じられず、また暴動様の怒りもない。祭りの日の巡礼とならば、共通の目的がありそうなものなのに、それもない。 人間は無意味に口をぱくぱくやり、目の玉をぎょろつかせて荒野を目的なく彷徨する集団に過ぎない。 人生もまた生から死への無意味…

絵画 『羊の剪毛』

上野にある国立西洋美術館に一点、心惹かれてならない作品がある。 常設点も終わりに近い近現代美術の作品群の手前。暖色に照らされた、19–20世紀の美術作品を並べる部屋の中に、その作品はある。 『羊の剪毛』と銘打たれたその作品は、同じ空間に並ぶエキゾ…